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韓国映画『五目少女(2018年)』感想レビュー|囲碁から五目並べへ──盤上ゲーム映画の珍しさ

囲碁から五目並べへ──青春を描く韓国コメディ

感想『五目少女』レビュー

囲碁や五目並べといった盤上の遊び(ボードゲーム)は、一見すると静かで穏やかで、落ち着いた雰囲気の世界に見える。しかし、その一手一手には勝敗を分ける緊張感と、その手を選んだ自分を信じる勇気が込められている。

韓国映画『五目少女』は、囲碁界での勝負世界から逃げてしまった元天才囲碁少女が、再び碁石を手に取り、自分自身と五目並べに向き合う姿を描いた青春コメディ作品である。

囲碁をあきらめた少女が、五目並べを通してまたもや碁盤に立ち向かう姿は、成長と挑戦を描いたマインドスポーツ映画としても楽しめる。

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『五目少女』あらすじ

幼い頃から囲碁の神童と呼ばれた少女イ・パドゥクは、大きな敗北をきっかけに「負ける恐怖」に囚われ、囲碁をやめてしまう。現在は囲碁クラブでアルバイトをしながら冴えない日々を送っていたが、ひょんなことから五目並べの大会に出場することに。そこで天才少年キム・アンギョンと出会い、自分の殻を打ち破る挑戦が始まる。師匠のもとで修行を重ね、再び勝負の舞台に立ったパドゥクは、恐怖を乗り越えて自分の一手を信じる戦いに挑む。

映画『五目少女』作品紹介

イ・パドゥク(パク・セワン)はパドゥク(=囲碁)という名前だけあって、生まれた時から碁石と戯れ碁石と暮らし、神童と謳われた囲碁の天才。幼いころからメキメキと頭角を現していたが、大事な対局で敗北してしまい、その挫折をキッカケに囲碁から身を引くことになる。

負けることが怖くなったパドゥクは囲碁をやめ、棋館でのアルバイトで生計を立てる生活を送っていたが、ひょんなことから囲碁ではなく五目並べの町内大会に出ることに。というお話。彼女は自分自身や碁盤と向き合い、新たな青春を描いていくのか──。

上映時間はわずか58分というコンパクトな韓国映画。短いながらも青春と笑いが軽やかに詰まっている。重厚なスポ根ドラマではなく、のんびりと眺めるカンジの、のほほん日常コメディ系。緊張感のある勝負シーンもあるが、全体的にはゆるく、ほんのちょっとのおふざけと悪ノリが入っていて、ガチンコものだと思って視聴すると肩透かしを食らうかもしれない。

ギャグ漫画を実写にしました、みたいなテンポとノリがしたので、一応検索をかけてみたのだが、何もヒットしなかったので調べた限りではオリジナル映画だろう。というか、五目という文字を見て、「五目そば」と「五目炒飯」を真っ先に思い浮かべた私だったが、参考にしようと訪れたレビューサイトの皆も「五目ヤキソバ」とか中華の話を持ち出していて面白かった。そのユルさもまた本作らしい。

少々脱線したが、サクッとみられてお話もまぁまぁ楽しめる映画。ふざけきった演出の中にも映像エフェクトは真面目に凝っていて、そのギャップもまた魅力となっている。

肩の力を抜いてちょっと一息つきたい時に、中華を食べながら一局どうだろうか?

 

囲碁と五目並べの違いと映画『五目少女』の魅力

私は囲碁をまったく知らないし、五目並べも五つどころか皆目わからない。そこで、囲碁と五目並べの違いを簡単に調べてみた。

  • 囲碁:盤上の領地を広げ、相手の石を囲んで取ることが目的。最終的に領地と取った石の合計で勝敗を決める。
  • 五目並べ:縦・横・斜めのいずれかで自分の石(黒または白)を5つ連続で並べることが目的。相手の石を取る要素はない。

ChatGPTに違いを説明してもらったら、「図を作ってわかりやすく示せるけど必要か?」と聞かれ、「必要だ」と答えたら次のイラストが出力された。

AIよる囲碁と五目並べの盤面の違いが描かれているがどう違うのかわからない画像

『AIよる囲碁と五目並べの盤面の違い』

なんのこっちゃわからない。しかも、五目並べは最初に真ん中に石を置くのがルールであるから間違っている。

しかしながら、映画では詳しいルールを知らなくても楽しんで視聴できるから安心して欲しい。作中でも説明されるし、それで理解できなくても物語の中の大事な局面では、五目並べではつまり5個並べればいいわけだから、編集で「ここが勝負のポイント」と示してくれる。

NHKなんかでよく解説しているのは、囲碁のほうだ。囲碁と五目並べを比べると、圧倒的に囲碁の方が歴史的・文化的にメジャー。囲碁は世界中にプロ棋士や囲碁連盟が存在するが、五目並べにはプロとかはない。言い方は悪いが、子どもの遊び程度という印象が強い。よって囲碁の方が五目並べと比べて格式が高いわけであるが、それだけにかつて囲碁の神童と呼ばれたパドゥクは、それにおごって五目並べの対局をなめてかかり、町内大会の初戦でけちょんけちょんの敗北を喫する。その展開は意外性と面白さを与えていた。五目並べは五目並べで、囲碁とは違う戦術や駆け引きの奥深さがあるようだ。

本作『五目少女』を視聴して「囲碁をやってみたい!」とか「五目並べをしてみたい!」という感情は生まれないが、五目並べを通じて青春を感じたり、ちょっとした笑いを提供してくれる軽快な韓国映画として楽しめる。ゆるいコメディ要素と青春の一コマが合わさり、肩の力を抜いて視聴できるのが魅力的だった。

ただし五目”少女”と銘打ってはいるが、主演を務めたパク・セワンは当時20代中盤だから、失礼ながら少女と呼ぶのは少々違和感がある。韓国映画界のキャスティング事情を垣間見たような気もした。やはり韓国は、俳優の世代交代が少子化によりうまくいってないのだろうか?そういうレビューを書いた覚えがある。

パク・ジョンミンは当時35歳、ヒロインのラヒ役イム・ユナは32歳。そして姉のボギョン役、イ・スギョンに至っては40歳だ。ところが、作中では彼らは16歳~17歳という設定。なぜ成人年齢をとうに超えた俳優陣を起用したのか……?

引用:韓国映画『手紙と線路と小さな奇跡』感想|青春・家族・奇跡が交差する感動作 - のんびり映画帳

ともかく結論として、本作『五目少女』は囲碁や五目並べの予備知識が全くなくても楽に視聴できる仕上がりになっている。隙間時間やちょっとした合間に、楽しんでみてほしい。

 

盤上ゲームを題材にした映画の珍しさ

映画の題材として、スポーツはいままでに数多く取り上げられてきたが、実は囲碁や将棋といった頭脳スポーツ、盤上ゲームをメインに描いた映画はそれほど多くない。盤上のゲーム、いわゆるボードゲームを描いた作品といえば私は『遊戯王』が出てくるが、あれは劇場映画化されていただろうか。それに『遊戯王』は”遊戯”がテーマの漫画だったが、ほとんどの人のイメージは「デュエルモンスターズ」が主だろう。

日本では将棋のプロ棋士・村山聖を描いた『聖の青春』や、日本アニメ『ヒカルの碁』が有名である。一方で、囲碁を正面から取り扱った実写映画はあるのだろうか。私は知らなかったが、2024年に草彅剛主演で『碁盤斬り』という作品が公開されていた。しかしながら、この『碁盤斬り』という映画は囲碁が出て来はするものの、囲碁そのものを描いた作品ではない。

それらの中で、さらにマイナーなゲームである五目並べを題材にした『五目少女』は非常に稀で、かつユニークである。一般的に五目並べは子どもの遊びという強い認識のため、映画の題材として使われること自体が珍しいだろう。だからこそ本作には、「囲碁をあきらめた少女が五目並べで青春を描く」ということ自体がもうすでにユーモラスで新鮮かつ面白い。

囲碁や将棋の映画が、緊張の走る重々しくシリアスな雰囲気になりそうがちなのに対して、『五目少女』は58分という短い上映時間で軽妙にまとめ、コメディタッチで楽しませてくれた。

この「盤上ゲーム映画」の中でもかなりに特異な立ち位置が、本作の独自の魅力と言えるだろう。

 

こんな人にオススメ!

  • 重たい青春スポ根映画よりも、ゆるいコメディタッチで楽しみたい人
  • 囲碁や五目並べのルールを知らなくても気軽に観られる映画を探している人
  • 韓国映画の中でもコンパクトにまとまった青春作品を観たい人
  • ちょっとした笑いと気分転換を求めている人
  • 「盤上ゲーム映画」という珍しい題材に興味がある人

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まとめ

韓国映画『五目少女』は、囲碁から逃げた元天才少女が五目並べを通して再び青春を取り戻す、58分のコンパクトなコメディ映画である。盤上ゲーム映画という稀有なジャンルを軽快に描き、重厚さよりもユーモアとテンポの良さで楽しませてくれるのが本作の魅力だ。

囲碁や五目並べを知らなくても十分に楽しめる作品なので、リラックスして視聴したいときや、ちょっとした気分転換にぴったりの一本である。

.コンパクトな青春映画レビューはコチラ.

www.kfilm.biz

 

映画『五目少女(2018年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:ペク・スンファ
  • 出演:パク・セワン, アン・ウヨン
  • 公開年:2018年
  • 上映時間:58分
  • ジャンル:コメディ, 青春, スポーツ
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