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韓国映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-(2023年)』感想レビュー|フリマアプリの恐怖を描くリアル系スリラー

フリマアプリが恐怖の舞台に――実際に起こりそうで震える韓国スリラー!

韓国映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-』感想レビュー

インターネットでの個人売買は今や我々の生活に浸透した便利さを持つ一方、相手の顔が見えない不安も常に隣り合わせにある。韓国映画『ターゲット -出品者は殺人鬼-』は、そんな日常にあるサービスの裏側に潜む恐怖をホラー仕立てで描くサスペンス・スリラーである。

ストーリーは、中古の洗濯機を購入したスヒョン(シン・ヘソン)が詐欺に遭うことから始まる。出品者を追及した瞬間から、執拗な攻撃が開始され、彼女の生活は崩壊していく。フリマアプリをきっかけに始まる“見えない誰か”との攻防は、日常と地続きのリアリティがあるだけに、視聴者を一瞬で恐怖の渦へと引き込んでいく。

本作を視聴しようと思ったのは、「メイカイサラドックの諸行無常で支離滅裂!」様の紹介記事。そこで取り上げられていた『ターゲット-出品者は殺人鬼-』が面白そうで面白そうで。Amazonプライムで500円だったけど、レンタルしちゃった。

lovejunkey.hatenablog.com

日本ではメルカリが代表的だけど、たぶん世界中にこういうフリマアプリはいくらでもあるよね。

ジャンルはホラーではあるけれど幽霊やゾンビではなくて、人間が襲い掛かってくるリアリティ系スリラー。韓国映画らしい緊張感と実際にありそうなリアルな人間の恐ろしさが融合した本作は、まさに「実際にありそう」で怖い。背筋が凍る一本である。レビューしていこう。

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『ターゲット-出品者は殺人鬼-』あらすじ

フリマアプリで中古の洗濯機を購入した女性スヒョンは、思いがけず詐欺に遭ってしまう。怒りから出品者を追及するが、それをきっかけに彼女の日常は一変する。見えない相手から執拗な脅迫と攻撃が始まり、やがて生活を脅かされる恐怖へと発展していく。便利なオンライン取引の裏側に潜む“見知らぬ誰か”の悪意が、じわじわとスヒョンを追い詰めていくのである。

『ターゲット-出品者は殺人鬼-』見どころ

韓国映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-』のストーリー冒頭では、街中の人々がフリマアプリを使って売買取引をしている様子が描かれていて、その描写がサイバーパンク風で今っぽい現代的な雰囲気。誰しもがスマホでいつでもどこでも売り買いをしている様子が、まさに今の時代を反映した作品であることを印象付ける。

序盤から犯人の手口が明示され、今後のストーリーの導入としてわかりやすく、すぐにサスペンスの世界へ引き込まれる。良い描き方だと思う。その後はしばらくフリマからの購入→実は故障品→クレームという流れで「実際にありそう」な展開だが、何故だかすでにじんわりと恐怖が迫っている感覚がしていた。身近だからこそのリアルさがゆっくりと忍び寄ってくるのだ。

全体のテンポも良く、恐怖シーンから恐怖シーンまで間延びすることがない。このリズム感が緊張感を途切れさせず、より大きなスリルへと発展していく中で視聴者の恐怖をさらに高揚させていく。

また、日本公開用の映画紹介画像には「スマホで買っただけなのに」というフレーズがあって、それは日本映画『スマホを落としただけなのに』のパロディだろうと静かにツッコミをいれたが、実際に本作でも、『スマホを落としただけなのに』と同様に犯人はIT技術を駆使して主人公スヒョンを追い詰めていく。しかし本作には情報操作による心理的プレッシャーだけでなく、実力行使や派手なアクション、果てはカーチェイスまであり、多彩な恐怖演出のどれもがまたそれぞれ違った緊張感を生み出してくる。

後半は危機が連続する息もつかせぬ展開となり、ホラーのように忍び寄る不気味さと、スリラーらしい突発的な恐怖が一本の映画で味わえる。

『ターゲット-出品者は殺人鬼-』は、日常の延長線上にある不安をリアルに描きながら、怒涛のスリルで最後まで視聴者を惹きつける作品である。

スマホを使ってフリマアプリで買い物をする女性

『AIによるフリマアプリでお買い物』

 

主人公スヒョンが描く『ターゲット-出品者は殺人鬼-』最大の魅力

韓国映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-』が、数多くあるホラー映画やスリラー映画と大きく異なる点――つまり本作の最大の魅力だが、それは主人公スヒョンの存在である。彼女は犯人からさまざまに執拗な脅迫や攻撃で生活を脅かされるが、それに怯えながらも最後まで「屈しない女性」として描かれている。

多くのホラー映画やスリラー映画、スプラッターやゾンビなどなど、大抵は登場人物は逃げ惑いながら仲間を失い、最終的には犠牲になったり、辛うじて生き残るだけで終わることが多い。いわば“勝ち目のない恐怖”に飲み込まれるパターンが定番で、ハッピーエンドはほとんど望めない。しかし本作はその枠組みを壊し、強いヒロイン像を前面に押し出している。

スヒョンは序盤から勝気で行動的だ。犯人に対して強くでる。壊れた洗濯機を掴まされた時には、自力で出品者を突き止めて「そいつは詐欺だ」と取引に割って入るし(結果的にそれが犯人の逆鱗に触れるのだが)、散々と脅された後に犯人から「条件を飲めば許してやる」と迫られても決して屈しない。むしろ煽っていくスタイルだ。いろんな脅迫を受けて、ついには精神的に追い詰められ怯える瞬間はある。しかしそれでも、根底には「絶対に負けない」という強さがある。やがてスヒョンは、恐怖に震えながらも警察に協力し、犯人を追い詰める策を仕掛けていく。この姿勢が犯人をさらに狂気に駆り立て、物語はクライマックスへと突入する。

『ターゲット-出品者は殺人鬼-』は、単なる被害者ではなく「恐怖に抗う女性」を描いている点で、他のスリラー映画とは一線を画す作品である。

 

フリマアプリと個人間取引のリアルな恐怖

『ターゲット-出品者は殺人鬼-』は、まさに現代のフリマアプリや個人間取引に潜む危険性を描いた韓国映画である。もっとも、さすがに映画のようなケースはまぁまずもって起こりはしないだろうが、全くないとも言い切れない。BtoCのように保証や規約が整っていない分、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も全くないとは言い切れない。

かく言う私も、フリマサイトでトラブルを経験したことがある。私もスヒョンと同じく、購入側であった。あるサイトで私は格安の商品を見つけ、すぐにそれを購入した。そうしたら商品が送られてきて、私はなんて良心的な値段だったんだと満足したのもつかの間、出品者から取引メッセージで「値段を間違えていたので商品を返して欲しい」と一方的な要求が届いたのだ。そうは言われても、私はすでに代金を支払っており、しかも商品も手元にあるのだ。

ひとまず運営に事の次第を報告し、どうすれば良いか指示を仰いだのち、出品者にその旨を伝えたのだが、出品者は「いいから商品を送り返してくれ。そしたら返金するから」の一点張り。しばらくしたら運営から返信があり、「商品到着後のキャンセルは規約違反だから、出品者が48時間以内に取引完了をしなければ運営側で締結させる」とのこと。そのことを出品者に伝えたら、「運営なんてどうでもいいから返せ」と返信がきた。そうは言われても、商品を送り返して果たして実際に返金されるのかは怪しい。商品だけ取られて、返金されないかもしれない。「私は運営に従います」と返信すると、かなり激高した様子で延々と「返せ返せ」とメッセージを送り続けてきた。最終的に運営が処理してくれたものの、精神的に大きな負担を感じた経験であった。

さすがに命まで狙われることはなかったが、そんなことを思い出してみれば、スヒョンが本作で体験する恐怖は決して他人事ではない。正当なクレームを入れただけで、生活そのものを脅かされる――まさに『ターゲット-出品者は殺人鬼-』が描くリアルな悪夢そのものである。怖いことこの上ない。本作も、フリマサイトの危険性に警鐘をならしているのかもしれない。というのはさすがに考え過ぎか。

そうは言っても、中身すり替え詐欺や不良品の押し付けなど、個人間取引特有の課題や闇も数多く存在する。便利で安価に利用できるフリマアプリだが、本作を観た後には「安全に使うための向き合い方」を改めて考えるきっかけになるだろう。

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こんな人にオススメ!

『ターゲット-出品者は殺人鬼-』は、ただのホラー映画ではなく、日常の延長線上にある恐怖を描いたスリラーである。こんな人に、特にオススメしたい。

  • フリマアプリや個人間取引を日常的に利用している人
  • 『スマホを落としただけなのに』のようなリアル系サスペンスが好きな人
  • 幽霊やゾンビより、人間の怖さを描いたホラー映画を探している人
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まとめ:韓国映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-』レビューを終えて

韓国映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-』は、フリマアプリという身近な題材を取り上げ、現代社会に潜む不安をスリラーとして描き出した意欲作品である。主人公スヒョンの強さと執念が(犯人の執念もまた凄いけど)、視聴者を引き込み、恐怖と緊張感をストーリーの最後まで持続させる。単なるホラー映画の枠を超え、日常の延長線上にある“かもしれない恐怖”を体感させる点で、本作は際立っている。

個人間取引の便利さの裏側にあるリスクを改めて意識させるという意味でも、本作を観る価値のある韓国スリラー映画だ。ホラー好きな人はもちろん、スマホ社会の怖さを肌で感じたい人に強く推したい一本である。

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映画『ターゲット-出品者は殺人鬼-(2023年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:パク・ヒゴン
  • 出演:シン・ヘソン, キム・ソンギュン, イム・チョルス, カン・テオ, イ・ジュヨン
  • 公開年:2023年
  • 上映時間:101分
  • ジャンル:ホラー, サスペンス, ミステリー, アクション,
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