監督はパク・フンジョン、主演はシン・シアが務め、2018年公開『THE WITCH/魔女』の続編にあたる。
研究施設で育てられた超能力者たちの衝突を描いたシリーズ第2作目。
🧙♀️圧倒的VFXと超能力アクション。その映像体験
韓国映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―』感想レビュー|シリーズ第2作
『THE WITCH/魔女 ―増殖―』は、2018年公開の韓国映画『THE WITCH/魔女』の続編にあたるシリーズ第2作。 前作で強烈な印象を残したキム・ダミに代わり、本作では新たにシン・シアが主人公を務める。 研究施設で育てられた超能力者ソニアを演じるシン・シアは、本作が実質的な映画デビュー作ながら、 無垢さと危険性を併せ持つ存在感でスクリーンを支配していた。
一方で、キム・ダミ演じる前作主人公の存在も物語の背景に色濃く残されており、 本作は単なる主人公交代ではなく、超能力実験という世界観を拡張する続編として構築されている。

韓国映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―』を視聴したきっかけは、こちらのブログ様の記事を拝見し、面白そうだと思った次第であります。なかなかに興味を引く文章をお書きになられる。いつも映画選びの参考にさせていただいております。で、ウォッチリストには入れてたんだけど、いろいろ立て込んでて観るのが遅くなってしまった。
……と、ここで私は完全にやらかした。 視聴を開始すると画面に表示された「Part.2」の文字。
続編やン!コレ続編やン!!
しまったしまった島倉千代子。んだらば一作目を先に観ようと探してみたらば、主要な配信サービスでは軒並み未配信。ウソやん。
権利の有効期限が切れているため、このタイトルはご利用いただけません
そんなことある?どんなタイミング?DVDをレンタルしようにも、うちにもはやプレイヤーとかないし。パソコンだって昨今はディスクドライブなんて付いてないよ……。
とはいえ、すでに440円支払ってしまっている。結果として前作未見のまま『魔女 ―増殖―』を観ることになった。
そうしたらスゴカッタ。ストーリーとかいらんかったや……。圧倒的なVFXと超能力アクションがすべてを押し流す。 スピード感、破壊描写、映像演出の密度。 韓国映画ってもうこんなレベルなんだ……。国内市場だけじゃない。世界水準を強く意識して映画を作ってる。
ストーリーよりも先に「映像体験」として記憶に残る一本。 ただただ「スゲェ……」と呟くことしかできない私が、画面の前にいた。
▶ 読みたいところだけチェック
- 1. 前作未視聴でも楽しめる?超能力アクションとしての完成度
- 2. 超能力バトルとVFX表現|本作最大の見どころ
- 3. 「まだ日本映画なんか見てんの?」──韓国映画と比較して見えてくる現実
- 「まだ日本映画なんか見てんの?」という言葉の正体
- 「良い作品もある」は、根本的な反論になっていない
- それは見下しではなく「諦め」に近い感情
- それでも日本映画を観るという立場
- 結論|『THE WITCH/魔女 ―増殖―』が突きつけたもの
- 4. こんな人にオススメ!
- 5. まとめ|圧倒的映像体験として記憶に残る一本
- 6. 映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―(2022年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)
『THE WITCH/魔女 ―増殖―』あらすじ
前作未視聴でも楽しめる?超能力アクションとしての完成度
韓国映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―』は、現状の私の視聴環境では前作をすぐに視聴することができない。それでも内容はある程度理解していた。
本作で使われるタイトルの「魔女」という言葉は、『ウィキッド ふたりの魔女』のような魔法世界の住人を指すものではない。 舞台はあくまで現代社会であり、超能力を持つ少女を比喩的に「魔女」と呼んでいるのだ。つまりジャンルとしては、超能力者同士が衝突するバトルアクション映画である。
そいうこともあり、ストーリー冒頭から描写はわりとバイオレンス。結構に激しく遠慮がない。テンポはというと、後半は超能力バトルが中心となり、進行は一気に加速してエンディングまで駆け抜けていく。 一方、前半は前作との繋がりを示唆する会話や意味深な展開が多く、前作未視聴の状態では評価しづらい部分があるのも正直なところだ。
前作視聴勢は「ほほん」と思う所があるのかもしれない。
それでも小出しでちょいちょい本作の主人公であるソニアが能力を披露し、そのたびに出し惜しみのないVFXと視覚効果で私を圧倒した。 ストーリーの細部がわからなくても、ただその迫力映像に身を任せておけば退屈はしない。
あんぐり口を開けて、ただ「すんげぇ……」とか言っていればよいのだ。
世界観の構築は非常に緻密で、超能力という題材を扱っていながらも安っぽさは感じなかった。 「映像で押し切る」ことを前提とした演出設計で、カメラを大胆に振り、カットを短く、リズムを優先させているような印象である。
この手のVFX重視・アクション特化型映画において、 もはや韓国映画はアジアトップクラス、 世界市場と正面から勝負できるレベルに到達していると言っても過言ではないだろう。
前作は観るべき?続編単体での鑑賞可否
さて、本レビュー執筆時点で前作『THE WITCH/魔女』を視聴できない状況にある以上、やはり気になるのは”前作の視聴は必須かどうか”だろう。
私のように「物理メディアでは観られないよ」という人もいるかと思う。
結論としては、物語理解のためには必須だが、未視聴でも私は楽しめた。正直ストーリーはチンプンカンプンだったが、それを補って余りあるほど、世界トップレベルのVFXと迫力ある超能力アクションが用意されている。迫真の超能力バトルは、まさに目の前で繰り広げられているようにリアルで、実在するんじゃないかと錯覚させられた。
見せ場よりもストーリー性を重視する人は満たされ度が低いかもしれない。一方で、現実離れしつつもリアリティのあるアクション映像を楽しめる人であれば、 割り切って本作から観る選択も十分にアリだろう。前作が視聴できない現状では、それもまた現実的な楽しみ方だと思う。
超能力バトルとVFX表現|本作最大の見どころ
『THE WITCH/魔女 ―増殖―』の見どころ、どころというかまさに芯の部分であるのが、ほかでもない超能力バトルとVFX表現だ。本作は惜しみなく視覚効果を投入しながらも、単なる派手さに終始せず、 ギャグにはならずに不思議なほどのリアリティを保っている。
空を駆ける、人が吹き飛ぶ、車が数十メートル先まで弾き飛ばされる、身体が再生する。 現実では起こり得ない描写の連続でありながら、 それらがまったく嘘くさく感じられないのが本作の異常な完成度だ。
ハリウッドのヒーロー映画にも通じるスケール感を持ちつつ、 どこかゲーム的で、映像的な誇張を一切ためらわない。 むしろハリウッド以上にやりすぎているのに、 違和感が生じないという点が興味深い。
文章でこの感覚を説明するのは、正直かなり難しい。
敢えて例えるなら、『FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN』というフルCG映画をご存じだろうか。アレを実写でやりました、みたいなカンジだ。CG映画なら許容される物理法則の破壊を、 実写とVFXの融合によって成立させている、そんな印象である。
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いくら他作品を引き合いに出しても伝わりきらない。百聞は一見にしかず。ぜひ実際に映画で視聴してほしいところだ。
それでも別の比較軸として挙げるなら、アクション映画の表現を更新したとされる『ジョン・ウィック』シリーズ。あの映画のパフォーマンスも素晴らしいが、『THE WITCH/魔女 ―増殖―』はまた別の方向性を辿っている。『ジョン・ウィック』が生身の人間によるアクションの極限だとすれば、『THE WITCH/魔女 ―増殖―』は、人のアクションにVFXを上乗せした別系統の進化形である。
『ジョン・ウィック』のアクションは理論上、生身の人間でも再現可能だが、 本作の超能力バトルは物理的に再現不可能だ(だって超能力だもん)。 それにもかかわらず、作り物感が前に出てこない。 このバランス感覚こそが、本作の映像演出の凄さだ。
改めて申し上げるが、実際に観て!としか言いようがない。
視聴中に私は「スゴイ。スゴイ。スゴイ!」という言葉しか出てこなかった。それほどまでに、本作は韓国映画の最先端VFXとアクション表現を体感させてくれる一本である。
「まだ日本映画なんか見てんの?」──韓国映画と比較して見えてくる現実
X(旧Twitter)を眺めていたところ、 「まだ日本映画なんか見てんの?笑」と笑われた、という投稿を目にした。
その投稿者自身は「日本にも良い映画はある」とも補足していたが、『THE WITCH/魔女 ―増殖―』を視聴し終えた今、 正直に言えば、その言葉の裏にある感覚は理解できなくもない。
これは、日本映画全体を見下すための言葉ではない。 むしろ、冷静な相対評価の末に出てくる感想に近い。
「まだ日本映画なんか見てんの?」という言葉の正体
この言葉の核心は、日本映画を知らないから出てくる発言ではない点にある。
むしろ、
- 世界の映画水準をある程度把握しており
- 韓国映画や欧米映画、配信オリジナル作品を日常的に観ていて
- そのうえで、日本の実写映画を優先する理由が見当たらなくなった
そうした段階に至った人間の、率直な感想に近い。
つまり、
のではなく、
という感覚である可能性が高い。 この違いは決定的である。
「良い作品もある」は、根本的な反論になっていない
よく聞く反論に、「日本にも日本ならではの良い映画がある」というものがある。
それは事実だ。否定はしない。
しかし、問題はそこではない。
- 良作が“点”で存在するだけ
- 映画産業全体としての平均値が低い
- ジャンル映画としての信頼感が築かれていない
この状態では、
という行為そのものが、 映画好きであればあるほど非効率になってしまう。
韓国映画には、
- ハズレを引きにくい
- 作品ごとのトーンが安定している
- 映像クオリティの最低保証がある
という信頼がある。
一方、日本映画は、
- 当たり外れの振れ幅が大きく
- 企画ごとに完成度が別物で
- 観る前から身構えてしまう
ここが決定的に違う。
それは見下しではなく「諦め」に近い感情
重要なのは、 「まだ日本映画見てんの?」という言葉に込められた感情が、 嘲笑ではなく、諦観に近いという点である。
- かつては期待していた
- 何度も肩透かしを食らった
- 比較対象から外した
この段階に来ると、日本の実写映画は、
- 批評の対象ですらなく
- 最初から選択肢に入らない存在
になってしまう。 これはかなり深刻な状態だ。
それでも日本映画を観るという立場
一方で、日本映画を観続ける立場も、もちろん成立している。 ここまで書いておきながら、私自身もそうだ。
- 日本語ならではの呼吸
- 生活感や距離感の近さ
- 小規模ながら確かに光る良作
こうした魅力は確かにある。
ただし、それはもはや世界水準の映画体験とは別枠で楽しむものになっている。 同じ土俵では語れない、という感覚も否定できない。
結論|『THE WITCH/魔女 ―増殖―』が突きつけたもの
この話を一文でまとめるなら、こうである。
だから、
- 言われた側が腹を立てるのも自然であり
- 言った側の気持ちが分かるのも自然である
どちらかが間違っている、という話ではない。
ただ一つ確かなのは、 そこまで言われる段階まで、日本実写映画の信用が落ちているという事実だ。
この感覚に気づいてしまった人間ほど、もう簡単には、日本映画に期待しなくなる。
遺憾ながら、私も『THE WITCH/魔女 ―増殖―』を視聴して、日本映画と比べてしまった。こんな凄い映画は、「日本では作れない」と感じた。
もちろん、韓国映画では表現できない日本映画の良さはある。しかし、さきほども述べた通り、それはもはや点としての存在であり、世界とは渡り合えない。このままでは日本映画は日本人だけが楽しむだけの映画になってしまい、世界で埋もれてしまう。
「べつに日本の映画なんだから日本人だけが楽しめばいいよ」という意見もあるだろう。しかしながら、やはり世界と競い合って、互いに切磋琢磨するからこそ、日本映画固有の良さというものもまた磨かれるものだと私は思う。
私は映画評論家でもなんでもない、単なる自分が観た映画を趣味でブログに書くだけの人間だが、それでも日本映画の行く末を危惧している。ハッキリ言って、負けたくないし負けてほしくない。私は韓国映画が好きだ。正直実写映画に関しては韓国の方が上だと思う。それでも、日本の映画は世界に負けてほしくない。やっぱり、一番を取ってほしい。
『THE WITCH/魔女 ―増殖―』に圧倒されて、思わず文章にしてしまったが、日本の映画業界は、今一度、昨今の邦画について見つめなおしてみるべき時期ではないだろうか。
こんな人にオススメ!
『THE WITCH/魔女 ―増殖―』は、物語の分かりやすさや丁寧な説明よりも、 映像体験そのものの強度を重視した映画である。 そのため、万人向けとは言いづらいが、刺さる人には強烈に刺さる一本だ。
- 超能力バトルやVFX重視のアクション映画が好きな人
- ハリウッド作品とは違う、韓国映画ならではの過激さと勢いを体感したい人
- ストーリーよりも、まず映像表現やスケール感を楽しみたい人
逆に、物語の整合性や心理描写を最優先に求める人には、 やや置いていかれる感覚があるかもしれない。
まとめ|圧倒的映像体験として記憶に残る一本
『THE WITCH/魔女 ―増殖―』は、日本映画と比較せざるを得ないほどの映像的インパクトを持った作品である。 前作未視聴では理解しきれない部分があるのも事実だが、 それを補って余りあるVFXと超能力アクションが、本作を強く印象づけている。
物語を「理解する」映画というより、 体感するタイプのアクション映画だと割り切って観ることで、 その真価はよりはっきりと見えてくるだろう。
韓国映画の現在地を知りたい人、 そして今の映画表現がどこまで到達しているのかを確かめたい人にとって、 本作は一つの基準点になる作品である。
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映画『THE WITCH/魔女 ―増殖―(2022年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)
- 監督:パク・フンジョン
- 出演:シン・シア, パク・ウンビン, イ・ジョンソク, キム・ダミ
- 公開年:2022年
- 上映時間:127分
- ジャンル:アクション, ファンタジー