韓国映画のんびり感想レビュー*

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『ミッション:ポッシブル』はつまらない?ウ・スハンは金で動いたのかを考察

監督・脚本をキム・ヒョンジュが務め制作された、2021年2月17日公開(原題:미션 파서블)のアクション・コメディ映画。
カネさえもらえれば何でも請け負う探偵事務所の社長のもとに、情熱あふれる秘密要員が現れ、武器密売事件の解決に向けた協力をいきなり要請することから始まるバディ作品。性格もやり方も正反対の2人が、衝突を繰り返しながらも共に事件を追う中で、次々とトラブルを引き起こし指名手配されながらも任務遂行に挑む姿を描く。探偵ウ・スハンをキム・ヨングァン、秘密要員ユ・ダヒをイ・ソンビンが演じる。
共演はオ・デファン、キム・テフン、チェ・ビョンモほか。

🔫勘違い潜入から始まる、コメディ先行型スパイ映画

韓国映画『ミッション:ポッシブル』感想レビュー|間違われた探偵が巻き込まれる痛快アクション

韓国映画『ミッション:ポッシブル』は、スパイ映画の体裁を取りながら、その実態は“勘違い”から転がり落ちていくコメディ・アクションである。

国家機密と違法銃器取引を追う中国情報部の新人エージェント、ユ・ダヒを演じるのはイ・ソンビン。冷静沈着で有能――のはずが、韓国での極秘任務中に接触相手を完全に取り違える。この致命的なミスが、物語のすべての引き金となる。

その“間違われた男”が、しがない探偵ウ・スハン。演じるのはキム・ヨングァンである。腕も運も今ひとつだが、なぜか自信だけは満々。この噛み合わない二人の即席バディ関係こそが、『ミッション:ポッシブル』最大の魅力である。

監督はキム・ヒョンジュ。銃撃戦や格闘シーンは本格的でありながら、緊迫の直後に間の抜けたやり取りを差し込む演出が秀逸だ。緊張と脱力の反復が、本作独特のテンポを生み出している。

 

韓国映画『ミッション:ポッシブル』は、タイトルから連想される『ミッション:インポッシブル』系のシリアス路線とは明確に異なっている。本作は「任務は成功するのか?」ではなく、「この二人で本当に大丈夫なのか?」を楽しむ映画なのだ。ジャンルとしてはアクション・コメディではない。あくまで順序として“コメディ・アクション”。最初に来るのが笑いだ。

正直に言えば、私はストーリーを追えなかった。私の理解力が悪いのか、ストーリーラインが複雑なのか、たぶん前者だろう。しかしながら、しかしながら、流れを正確に追わなくても全く問題はない。『ミッション:ポッシブル』は、窮地に陥りながらもコミカルに解決していく展開が真骨頂のストーリーである。逼迫しているのにどこかユルい。そのユルさがまた癖になる。

軽快でテンポが良く、気楽に楽しめる韓国発の新感覚コメディ・アクション。重厚なスパイ映画を求めるなら方向違いだが、“笑いながら観られる潜入劇”を探しているなら、十分に選択肢となる一本である。

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序盤の“勘違い潜入”から一気に加速するコメディ展開

韓国映画『ミッション:ポッシブル』は、重厚なスパイ映画を思わせる導入から始まる。中国国家安全部の新人エージェント、ユ・ダヒが極秘任務に臨む姿は真剣そのものだ。しかし、接触相手を取り違えるという“致命的な勘違い”をきっかけに、物語は一気にズッコケ・コメディ・アクションへと舵を切っていくのだ。

テンポは終始軽快で、笑いのリズムもふわふわと軽い。しかし戦闘シーンに入ると空気は一変する。格闘や銃撃は想像以上に本格的で、アクションとしての見応えも十分だ。コメディに寄せながらも、アクションの質を落とさない。このバランス感覚こそ『ミッション:ポッシブル』の強みである。

特にキラリと光るのは、ユ・ダヒとウ・スハンの掛け合いだ。作戦中に飛び出すジョーダンめいた軽口、銃撃戦の合間に差し込まれるギャグ。緊迫と緩和を高速で行き来する演出が、視聴者の集中力を途切れさせない。

シリアスに寄りすぎて疲労感を残すこともなければ、コメディに振り切って緊張感を失うこともない。計算されたテンポ設計により、スパイ映画でありながら肩肘張らずに楽しめる一本に仕上がっている。非常に練りつくされた展開具合といえるだろう。

視聴のために腰を据えて構える必要はない。流し観でも楽しめる軽さがありつつ、アクションの見どころはしっかり押さえている。重厚な諜報劇ではなく、“笑いながら観られる韓国コメディ・アクション”であり、間口が広く、観る人を選ばない万人向けの映画とも言えるだろう。

 

勘違いから始まる潜入劇が物語を加速させる

キム・ヨングァン演じるウ・スハンは、特殊訓練を受けたエージェントではない。あくまで平凡な私立探偵であり、偶然任務に巻き込まれただけの存在である。一方、中国情報部の新人エージェント、ユ・ダヒ(イ・ソンビン)は、本来なら単独で任務を遂行するはずの立場だ。

しかし接触相手を取り違えるという“勘違い”から始まった潜入劇は、想定外のバディ関係へと発展する。この設定こそが『ミッション:ポッシブル』最大の見どころであるのだ。

違法銃器取引を追う任務は、やがてマフィア、警察、さらには中国上層部をも巻き込む惨事へと拡大していく。本来、ダヒは「失敗すれば切り捨てられる捨て駒」にすぎない存在だった。組織にとっては、任務失敗も想定内。その冷酷な構図が物語の裏側にある。

だが、最初からインポッシブルだったミッションを、間違われた探偵ウ・スハンの介入によって“ポッシブル”へと変えていく展開に痛快さがある。専門外の男が現場で機転を利かせ、時に無謀な行動に出ることで、状況は予測不能な方向へ転がっていく。

物語が進むにつれ、デコボコな二人の間には奇妙な信頼関係が芽生える。組織の思惑に気づきながらも任務を全うしようとするダヒと、守るべき存在のために銃やナイフを手にするスハン。単なるコメディ・アクションに留まらず、即席バディの成長譚としても機能している点が、本作『ミッション:ポッシブル』の魅力である。

 

ウ・スハンは本当に金のためだけに動いたのか?

本作『ミッション:ポッシブル』。勘違いから始まったバディとはいえ、スハンは危険極まりない任務を背負うユ・ダヒと組む。身も蓋もない話をすれば、ウ・スハンが動き出した理由はやはり“お金”だ。序盤からウ・スハンのお金への執着は過剰なまでに描かれており、私立探偵として細々と生計を立てる彼にとって、報酬は最も現実的で分かりやすい動機である。危険な任務に足を踏み入れたのも、最初は仕事としての延長線上に過ぎない。

しかし『ミッション:ポッシブル』が面白いのは、そのスハンの動機が途中から静かに変質していく点である。

任務の規模は想定を超えて拡大し、マフィアや警察、さらには中国上層部までが絡む事態へと発展する。合理的に考えれば、報酬とリスクが釣り合わなくなった時点で撤退するのが正解だ。それでも、スハンは離脱しない。

─ なぜか? ─

ユ・ダヒが“失敗すれば切り捨てられる存在”であると知った瞬間から、スハンの立場は変わる。組織にとっては駒でも、目の前にいるのは一人の人間だ。その構図を理解した時点で、彼の行動原理は単なる報酬では説明できなくなる。

さらに言えば、スハン自身の問題もある。探偵として評価されず、どこか中途半端な立ち位置にいる男が、自分の力で状況を変えられる局面に立った。これは自己証明の機会でもあったはずだ。

つまり、構造はこうである。

表面上の動機は金。
だが物語が進むにつれ、共感と意地、そして守るべき存在への責任感へと変化していく。

ウ・スハンはヒーローではない。だがお金のためだけに動く男でもない。その曖昧な位置にいるからこそ、『ミッション:ポッシブル』の勘違い潜入劇は単なるドタバタで終わらず、即席バディの成長譚として成立しているのである。

 

ユ・ダヒは組織のために戦ったのか、それとも自分のためか?

ストーリーが進行していく中で、自身の立場が危うくなっても、ユ・ダヒは最後まで任務遂行を選んだ。投げ出しはしない。しかしそれは、単純な忠誠心からではない。

中国情報部の新人エージェントである彼女は、失敗すれば切り捨てられる立場にあった。組織にとっては代替可能な駒の一つに過ぎない。そして任務を放棄してもそれは裏切りと同義であり、彼女が生き残るためには、任務完遂だけが生存の道であった。まず前提として、その構造がある。

しかし『ミッション:ポッシブル』が描いているのは、忠実に命令に従うエージェントの姿ではない。

ダヒは、自分が“捨て駒”であることを次第に理解していく。それでも任務をやり遂げようとするのは、組織のためというより、「駒では終わらない」という意地に近い。任務完遂は、前述のスハンと同じように、彼女にとって自己証明の手段だった。

さらに、ウ・スハンという想定外の存在が加わる。民間人でありながら命を張る彼の姿は、任務を単なる業務ではなく“共に乗り越える現実”へと変えていく。ここでダヒの選択は、組織への忠誠だけでは説明できなくなる。

任務を投げれば、自分は助かるかもしれない。だがそれは、スハンの行動を無意味にする選択でもある。だから彼女は戦い続ける。

結局のところ、ダヒが戦ったのは組織のためでも、恋愛感情のためでもない。自分が使い捨てではないと証明するためであり、目の前で命を張る相棒を裏切らないためである。

『ミッション:ポッシブル』はコメディ・アクションでありながら、この一点において意外なほど芯がある。ユ・ダヒの選択は、軽快な物語の中で静かに重みを持っているのだ。

 

こんな人にオススメ!

『ミッション:ポッシブル』は、重厚な諜報劇よりも、軽快なコメディ・アクションを楽しみたい人に向いている作品である。

  • シリアス一辺倒ではないスパイ映画を観たい人
  • テンポの良いバディものが好きな人
  • 笑いとアクションをバランスよく味わいたい人
  • 難解なストーリーよりも、痛快さを重視する人

物語の緻密さを徹底的に追うタイプの映画ではない。しかし、勘違いから始まる潜入劇が拡大していく展開は素直に楽しい。肩肘張らずに観られる娯楽作として、間口は広い一本である。

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『ミッション:ポッシブル』はつまらない?それとも面白い?

これは評価は分かれるだろう。

重厚なスパイ映画や緻密な脚本を期待すると、物足りなさを感じる可能性はある。ストーリーの細部を追う作品ではなく、勢いとテンポを楽しむ映画だからだ。その意味では「つまらない」と感じる人がいても不思議ではない。

だが一方で、金銭から始まった協力関係が信頼へと変わり、捨て駒扱いだったエージェントが自分の価値を証明していく流れには、確かなカタルシスがある。笑いの裏に動機の変化を仕込んでいる点は見逃せない。

本作は、完璧なヒーローの物語ではない。不完全な二人が、勘違いから始まった任務を“可能”へと変えていく物語なのだ。

だからこそ『ミッション:ポッシブル』は、「面白いかどうか」ではなく、「この軽さを楽しめるかどうか」で評価が決まる作品だといえる。少なくとも、最初から完全に“不可能”だったわけではない。その爽快感だけは、確実に残るのである。

 

映画『ミッション:ポッシブル(2021年)』の作品情報まとめ(監督・キャスト・配信情報など)

  • 監督:キム・ヒョンジュ
  • 出演:キム・ヨングァン, イ・ソンビン, オ・デファン, キム・テフン
  • 公開年:2021年
  • 上映時間:105分
  • ジャンル:コメディ, アクション
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